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研削といしの基礎知識

加工の豆知識
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研削といしの3要素

「といし」は「回転させて使うもの」と「回転させないで使うもの」があり、研削加工のように、回転させて使う「といし」を「研削といし」といいます。

砥石は漢字で表記されることが多いですが、JIS R 6004では、漢字ではなく、「ひらがな」で定義しています。したがって、正式には「といし」と書くのが正解です。

研削といしの上記イラストのように、研削といしは「小さな石」の集合体で、石と石の間には空洞があります。このように、研削といしは一見すると、「小さな石」と「空洞」の構造になっていますが、もう一つ目には見えないものがあります。 それは、石と石を結びつけるための「接着剤」です。つまり、研削といしは「小さな石」、「空洞」、「接着剤」の3つで構成されています。

さて、研削加工は研削といしで工作物を削っていますが、加工点(研削といしと工作物が接触している点)を拡大すると、一つ一つの石が工作物を削る「刃」の役割をしています。一つ一つの石を「と粒」といいます。 一般に、「砥粒」と表記されることが多いですが、JIS R 6004では、「といし」と同様に、「と粒」と「ひらがな」で定義しています。

「と粒」を集めて、「研削といし」のように丸い形状をつくるためには、と粒とと粒を接着剤で固めなければいけません。この接着剤のことを「結合剤」といいます。「と粒」を固めている「結合剤の強さ」は「研削といしの硬さ」に置き換えることができます。 つまり、結合剤が強いほど硬い「研削といし」ということになります。

そして、「と粒」と「と粒」の間には「空洞」が生じます。この「空洞」は「と粒」が工作物を削ったときに発生する「切りくず」を排出する役割や「研削といし」の温度を冷やす役割があり、研削加工にとって非常に重要な働きをします。 この空洞のことを、「気孔(きこう)」といいます。

このように、「研削といし」は「と粒」、「結合剤」、「気孔」の3つから構成され、これらを「研削といしの3要素」といいます。

と粒について

と粒に使われる研削材の材料をの調合を「砥材」と呼び、その砥石に含まれる研削材をもとに表示します。
切れ刃の働きをする研削材はそれぞれに特徴があるので、目的に適したものを選ぶことが必要です。

砥粒の比較表

記号 名称 分類 特徴 主な用途
A アルミナ 一般砥粒 粘り強く、汎用性が高い 炭素鋼、構造用鋼
WA 白色アルミナ 一般砥粒 Aより硬く、仕上げ向き 焼入鋼、工具鋼
BA 黒色アルミナ 一般砥粒 粘りが強く粗削り向き 鋳鉄、粗研削
C 炭化ケイ素 非鉄用砥粒 非常に硬く、脆い アルミ、石材、鋳鉄
GC 緑色炭化ケイ素 非鉄用砥粒 Cより純度が高くさらに硬い 超硬合金、セラミック、ガラス
AZ アルミナジルコニア 複合砥粒 耐摩耗・自生性◎。高能率研削向け ステンレス、鋳物、難削材
HA 高硬度アルミナ 微結晶砥粒 WAより硬く鋭い。精密研削向き 工具鋼、ベアリング鋼
SG / SX セラミックアルミナ セラミック砥粒 微結晶。自生性が高く、長寿命 CNC研削、難削材、高精度加工
CBN ボロンナイトライド 超砥粒(鉄系) 超硬度。鉄系に最適、高精度 焼入鋼、合金鋼、ニッケル合金
D ダイヤモンド 超砥粒(非鉄) 最硬素材。脆性材・非鉄に対応 超硬合金、石英、セラミック

※アルミナとは、**酸化アルミニウム(Aluminum Oxide)**のことで、化学式は Al₂O₃ です。

この物質は非常に硬く、耐摩耗性や耐熱性に優れており、砥粒(研削材)として広く使用されています。工業的には英語で「Alumina(アルミナ)」と呼ばれるのが一般的です。

また、かつてノートン社(Norton)がこのアルミナ砥粒を「アランダム(Alundum)」という商品名で販売していたことから、今日ではアルミナ系砥粒全般を「アランダム系」と呼ぶこともあります

つまり、砥石に使われる「A」「WA」「HA」などのJIS記号で表される砥粒は、すべてアルミナ(=酸化アルミニウム)系であり、広義ではアランダムの仲間と考えられています

粒度について

砥石の「粒度(りゅうど)」とは、砥石に含まれる研磨材(粒子)の大きさを表す指標で、研削加工の仕上がりや切れ味に大きく関係します。

粒度の区分

分類 番手範囲 粒子径の目安(μm) 特徴 主な用途
粗粒 #8~#24 約1000~700 非常に粗い。削り量が多い 錆落とし、荒削り、バリ取り
中粒 #30~#60 約600~250 やや粗い。形状整えに最適 一般的な切削、面整え
細粒 #80~#220 約180~65 滑らかな仕上げが可能 面仕上げ
微粒 #240~#600 約60~20 高精度な加工が可能 精密仕上げ、刃物研ぎ
超微粒 #800~#8000以上 約15~1 鏡面のような超仕上げに最適 鏡面仕上げ、精密工具研磨

表のように粒度は、「何番」という数値で表されます。その数値が小さいほど粗い(粒が大きい)、大きいほど細かい(粒が小さい)ことを意味します。ですので荒削りの場合は数値が小さいといしを、仕上げ加工では数値が大きいといしを使用することが好ましいです。

結合度について

砥石の「結合度(けつごうど)」とは砥粒(とりゅう)をどれくらいの強さで結合剤が固定しているかを示す指標で、加工の性質や寿命に大きく影響します。アルファベットで硬・軟を表し、Aに近いものほど軟らかくなります。一般に硬い加工物には軟らかめの硬度、軟らかいものには硬めの硬度の砥石を用います。

砥石の結合度が柔らかいほど砥石の自生作用が大きくなり、目詰まりしづらくなりますが砥石の消耗が激しくなります。砥石の結合度が固くなるほど砥石の自生作用が小さくなるため寿命自体は伸びますが、目詰まりを起こしやすくなり、刃こぼれや目詰まり等の現象が起きやすくなります

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